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2011年11月22日

広島上映レポート

広島上映レポート

11月19日(土)。福間監督は、16時ごろ広島に到着。ホテルにチェックインして、シャワーをあび、余裕をもって、ちょうど雨があがって夷子神社の大祭でにぎわう広島の街を歩いたそうです。
サロンシネマに来るのは4回目。わかってるつもりだったのに、サロンシネマのある鷹野橋を通りすぎて、とんでもないところまで行ってしまったそうで、汗をかきながら、映画館に入りました。

サロンシネマ、シネマツイン、八丁座を擁する株式会社「序破急」の総支配人、住岡正明さんとは、19年前の石井輝男監督特集オールナイト以来の仲。
上映前の挨拶から、二人の息はぴったりです。
福間監督は、いつも以上にリラックスして、大勢詰めかけてくれたファンのみなさんの前に立ちました。
そして、「今日は、初めてのブルーレイによる上映。ここのすばらしいシートでぼくも一緒に見ます」と客席に。

上映後のトークでは、住岡支配人から次々に興味深い指摘と質問が放たれました。
まず、トップの大きな赤い文字のタイトルについて。60年代の東映、とくに石井輝男作品を意識したものではないか。「そうです。今回の主演の三人をスターとして立たせたかった」と、福間監督はにっこり。
客席から質問も出ました。
まず、歴史的な出来事の当事者でなくても共有している日本人の「体験」としての、日本の夏をベースにしてシナリオを考えたこと、そのシナリオには未定の部分があったことなど。
福間監督は、とくに広島を意識して、『わたしたちの夏』における原爆や原民喜の詩と小説のテクストの扱い方について、感謝の気持ちをこめて説明しました。
「この世界の悲劇性にぶつかるという経験。つまり、ほんとに人間が困ったときの感情は、原爆でも震災でも個人的なできごとでもおなじものではないでしょうか」と。

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ちょうど前日に園子温監督が広島に来られ、また福間監督もその『恋の罪』を見たばかりだったので、その話題が出ました。「『恋の罪』、富田克也監督の『サウダーヂ』、新藤兼人監督の『一枚のハガキ』が、今年のベスト3かな。『わたしたちの夏』も負けてないけど」と福間監督。
そして自分の場合、「苦しいときのゴダール」という撮り方があるように、「苦しいときの園子温」という撮り方もあるとして、それがどういうものなのかをユーモアをこめて語りました。
最終的にこの世界が生きるに値するものだとする「肯定性」に向かわない冒険は、ある意味で簡単。自分は「肯定性」に向かう冒険をやっている。たとえば園子温監督はどうなのでしょう、と住岡さんや客席に問いかける場面も。

「結局、福間監督が『わたしたちの夏』で伝えたかったメッセージは? それがわかると観客のみなさんも見やすいと思うのですが」と住岡さんが質問。
ちょっと考え込んだ監督の答えは、なんと「言いたいことって、ほんとはとくにない。よそではいろいろと言ってきたけど」。
「えーっ、そうなんですか?」
「しいていえば、生きるってことが大事だってこと。生きていればいいってこと。それをずっと感じてきたんです」

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そして、観客のみなさんに「ぼくの考えていることを読みとってもらうような見方はしなくていいでんすよ。ぼくがスタッフやキャストとの出会いからこういう表現を生みだしたように、みなさんも、それぞれのやり方、感じ方で、この映画に出会ったことからなにか生みだしてくれたら最高です」と締めくくりました。

ロビーでのサイン会でも、監督の感激することが続きました。15年前にサロンシネマで長篇第一作『急にたどりついてしまう』を見たという人がそのパンフレットをさしだしたり、吉野晶主演の瀬々敬久監督作品『汚れた女(マリア)』のチラシを持ってきた人がいたり、福間監督の著書を何冊も持ってきた人がいたり……。広島のディープなファンにはおどろきました。

この夜、監督は、サロンシネマの桑原由貴支配人に案内され、広島の中心部、八丁堀にある、一周年を迎えた八丁座を見学。楽しさいっぱいの、その凝った作り方に、ほとんど度肝を抜かれたとのこと。
お好み焼き屋さんの「八昌」での、「序破急」の蔵本順子社長以下、スタッフのみなさん、ファンのみなさんの交流の場となった打ち上げでも、福間監督は、大いに食べ、飲み、熱弁をふるいました。
広島のみなさん、どうもありがとうございました。

サロンシネマでの『わたしたちの夏』の上映は、25日(金)までつづきます。23日(水)は祝日で、25日(金)はレディスデイ(女性は1000円均一)です。どうぞ、広島での上映をお見逃しなきよう、よろしくお願いします!


写真撮影 蔵本健太郎
宣伝スタッフ 八丁娘 



 





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2011年11月07日

大阪上映レポート

大阪上映レポート

11月に入ってからの福間監督は、超ハードスケジュールがつづいています。名古屋から戻った翌日は、函館での「佐藤泰志の復活と映画『海炭市叙景』を語る」のイベントに行き、翌日東京に戻った夜には鈴木志郎康さんの特集上映でトークをして、翌5日は、午後国立での詩のワークショップを終えて、大阪での『わたしたちの夏』上映初日に第七藝術劇場に駆けつけるという1週間。移動中は当然のように爆睡状態ですが、しかし元気。タフな62歳、ということでしょうか。

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大阪は十三にある第七藝術劇場に到着したのは、21時25分。もう上映は始まっています。今日は残念なことに、松村支配人が体調を崩しておられてお休み。スタッフの喜多野さんと比嘉さんのお二人が、あたたかく迎えてくれました。
上映後、監督は一人で壇上にあがりました。『わたしたちの夏』の始まりからここまでを、観客の皆さんに話します。で後半、思いがけぬゲストの登場です。劇中での大学の授業のシーンの主役、千石先生こと千石英世さんがたまたま大阪に来られていて、映画を観に来てくださっていたのです!
「あそこに映っていたわたしです」と舞台に上がった千石さんは、にこやかに挨拶されました。
福間監督と千石さんは大学院の同期で、それ以来の古い友人でもあります。
「あの授業風景について、台本がきちんとある芝居なのか、ドキュメンタリーなのか、とかいろんな質問が多いんだけど」と福間監督。
「僕は週に1回、あれと同じ授業を首都大でやってたんですね。それを福間君がこっそり見に来たことがあって、映画でそのままをやってくれないかと。だから、学生は違うけど、僕にはいつもの授業風景なんですよ。セリフを覚えなければならないストレスが全くなかったから、ラクでした」と千石さんは答えます。そして「映画に出るというより、福間くんの映画だから協力するという気持ちでした。映画がどういうふうに出来上がっていくのか、想像したこともなかったんだけど、自分が出てみて、パズルのワン・ピースのようなものが、組み合わされていって映画になるのだと、感心しましたね」。

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「千石先生が登場するもうひとつの場面、千石先生の姪役のまり子の部屋で、千景さんと三人で話すシーンは、もっと時間がかかると思ってたんだけど、速く撮れたよね。だからそのあと余裕で、みんなで飲んだりして、スタッフの気持ちがまとまっていったことも大きかったよね」と福間監督は、撮影のエピソードもにもふれました。

千石さんは「今日で4回観たことになるんだけど、この映画は、サキが授業の中であの小説を批判することが骨格になっているということを、4回目にしてわかった気がします」と言います。うーん、なるほど。
そして、「福間君の映画は『女性讃歌』でもあると思うんです」と。さらに「世界と和解する、というテーマが常に根底にあって、そのことは詩集『青い家』とつながっているものなんだと思う。映画と詩集をほぼ同時に観て、読んで、それがよくわかったんですね」と、千石さんは、福間健二の仕事を長くみてきた人間としての深い洞察を示しました。

もう時間がなくなりました。福間監督は「今日観てくださって、いいなあと思われた方はぜひもう一度、またお友だちに伝えてもらって、11日までの七藝での上映に来てください」とお願いしました。千石さんとともに熱い拍手をいただいて、大阪初日のトークを終えました。
ロビーでは、うれしい感想を言ってくださる方やなつかしい友人・知人にかこまれて、七藝の夜は更けてゆきました。
大阪の皆さん、神戸・京都・岡山(!)から来てくださった皆さん、ほんとうにありがとうございました。『岡山の娘』につづいて『わたしたちの夏』も上映してくださった、われらが第七藝術劇場に感謝! です。

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さて、翌朝はトーゼンのごとく、十三屋へ! じつは、十三にある北野高校出身だった(!)千石さんも知らなかった十三屋ですが、もちろん大感激。ハードスケジュールの福間監督の大阪に来たかった本当の理由は、ここにあり?! 今回で三度目の十三屋なのです。
この日午後2時からの大阪文学学校での「びーぐる公開座談会」に出席する福間監督は、飲み過ぎないように、しかし壁面いっぱいのメニューの数々はしっかりこなしてから、名残惜しい十三に別れを告げました。

大阪第七藝術劇場での上映は、連日20時30分より11月11日(金)までつづきます。
どうぞお見逃しなきよう!

宣伝スタッフ 十三の娘





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2011年11月03日

名古屋上映レポート

名古屋上映レポート

名古屋シネマテークでの『わたしたちの夏』は、10月29日(土)から11月2日(水)までの5日間上映されました。福間監督と名古屋シネマテークとのつきあいは、もう20年近くなります。92年に『石井輝男映画魂』が出版されて、今は亡き石井輝男監督特集が組まれたときに始まって、『急にたどりついてしまう』『岡山の娘』と上映していただいてきました。シネマテークのある千種区今池も、劇場のある今池スタービルも、福間監督にはなつかしい場所です。10月29日の萩原朔太郎賞授賞式以降、過密スケジュールのつづく福間監督は、11月1日(火)映画の日に、シネマテークにご挨拶に行ってきました。

20時30分上映スタートの10分前にシネマテークに到着。すでに入口の外にまで列ができるほどのお客様がいらしています。場内は満席になりました!
福間監督がひとことご挨拶とお礼を言ってから、上映は始まりました。
シネマテークのあるビルは古くて摩訶不思議なところ。劇場のある2階の廊下の壁にはびっしりとチラシやポスターが貼られていて、見ていてちっとも飽きません。このあたりにシネマテークの心意気が感じられます。だから、ここの写真を撮るはずだったのに! ほれぼれしちゃって、忘れてしまった! すみません! 

さて上映が終わって、平野支配人と福間監督のトークが始まりました。まずは「朔太郎賞おめでとうございます」とお祝いの言葉。平野さんはどんどん質問を投げかけます。
「全体にもそうだけど、千石先生の授業の場面など、先生も学生も、どこまでが福間さんの考えたセリフなのかがわからなかった。そのあたり、ホンはちゃんとあったのですか。またリハーサルはしたのですか」
「授業は、実際の千石先生の授業そのものをやってもらって、サキ役の小原さん以外の学生たちには、自分たちの考えを話してもらった感じ。全体的に、台本には『未定』としてるところがたくさんあったんです。ホン読みはしましたけど、リハーサルはほとんどしない。あまり練習してこられても、演技経験がないのがいいと思ってるので。現場の状況、カメラマンの鈴木一博さんの画への向かい方などで、その場で即興的に出来上がったセリフや動きが生きましたね」と福間監督。
「福間さんが面白いと思ってるものがちゃんと詰まっていて、それらがうまくつながって出来ていると思いました」と平野さんは言います。

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それから、観客の方からの質問を受けます。ここシネマテークでは、たくさんの質問や意見があがるのです。それだけ熱心なお客さんが多いからなのか、平野さんの進行と雰囲気作りがうまいからなのか。いつも感心させられることです。
まず古い映画ファンと思われる方から「福間さんは、石井輝男監督を研究されたわけですが、石井監督の影響はあまり感じられません。どうなのでしょう」と質問されました。
福間監督は苦笑いしながら「そうですねえ……。石井監督の要領のよい撮り方や、『網走番外地』シリーズの主人公の名前の橘(立花と変えて)を三作とも使わせてもらってることとか、いちおうはあるんですけど……」と。

つづいての質問です。「物語の前半には、戦争のことや9・11など社会的なことが登場しますが、中盤以降にはそれがなかったのはどうしてでしょうか」。
「主人公が迷いこむ森は、死の世界でもある。わたしたちが生きているこの世界は、わかりにくく未来も見えにくくて息苦しい。森に逃げこむけれど、帰ってこれるのか。帰ってこなくてはいけない、生きていかなければならないと。『水ヲ下サイ』で戻って、前半とつながらないかと考えたのです」。福間監督はそう答えました。

次の質問は「庄平が突然殺されるのはどうしてでしょうか」と、若い女性からです。
福間監督はちょっと考えながら「単純には、ギャングもやろうというのがあったんですけど……言ってしまうと、庄平は、生きて東京に戻ってきたのかな、本当は神戸で死んでいたのかもしれないと。庄平役の常吉さんには、生きている人ではない雰囲気が出ていて、なおかつあそこで死んでもらうと、千景とサキの物語になるから、庄平が死ぬドラマを考えなくてもいいというのもあったんですね」と、ご都合主義的なホンであることも(?)暴露します。
そこで平野さんも突っ込みます。「『岡山の娘』もそうだったけど、やっぱり男はどうでもよくて、女ってところにくるんですね」(場内笑)。

そしてラストシーンについての質問も出ました。「ラストの『水が欲しい』のところはとても重要だと思うのですが、撮り方はじつに淡々としていて、カメラは寄らないのですが、ラストとして宙ぶらりんさはなかったのですか?」
「あそこは寄らなくてもいいと思いました。自転車の濃いピンクを出したかった。自転車と二人、このサイズで決まり、と。そして月のショットが出ますけど、あれが生きた、そう思ってます」と福間監督。

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客席からはさらに手が挙がります。「バスに乗り遅れるなよ」がとても印象に残っていると言われた女性、「サキ役の小原早織さんは、僕の今年の最優秀女優賞だ!」と主張された若い男性。場内は熱気で暑いほどになって、あっという間に時間がすぎてゆきました。
最後に福間監督は、これからについて「映画のなかに詩が入るのがいやだ、とよく言われるんです。劇中で詩を引用しないで、全体が詩であるような映画をつくっていきたいと思います」としめくくりました。場内からは熱い拍手がわいて、中身の濃いトークは終了しました。

ロビーでは、詩集やパンフレットを買ってくださった方に、監督はサインをしながらさらに交流を深めることができました。
遠くからかけつけてくださった方、名古屋市内の方々、夜遅くまでおつきあいくださり、ほんとうにありがとうございました。
そして、平野さんをはじめ、仁藤さん、大橋さん、シネマテークの皆さん、このたびもまたすっかりお世話になりました。感謝の言葉を送ります!

宣伝スタッフ エッセンシャル今池




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