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2011年12月24日

渋谷上映レポート 3

トークゲスト 森下くるみさん

12月22日。一年でもっとも夜の長い冬至の日、渋谷アップリンクにあでやかな花がゲストとして登場しました。なんとなんと! 森下くるみさんです!
ショートカットに黒い着物姿であらわれた森下さん、会場のうしろからみても目がキラキラ輝いていて、うーん、本当に可憐です。のっけから監督より、今回の上映イベントは、実は「きみたちは美人だ」連続トークになっているんです、との告白がありましたが……監督、その企み、みんなすっかり気づいちゃってます! わかりやすすぎます!

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ポレポレ東中野ですでにみてくださっていたという森下さん。「夏」というとギラギラした太陽の日差しを思い浮かべるけれど、この映画をみたあとは、夏は夏でも、日陰にできた空気のような、ひんやりした印象が残ったそうです。

森下さんの、「サキさんがかわいい」発言をうけて、ぐぐっと話が深まります。
監督からは、「自分にとってかわいい女の子は、生意気だったり、キツい感じのある子たちで、千景にもそういうところはあるけれど、サキのほうにより強くあらわれていると思う。そういう面を女性の魅力として捉えていきたい」という女性観が披露されます。前作『岡山の娘』のみづきもそうでした。視線の強さ、怒り、どちらもサキと共通するものがあります。ここから、今度は男性論に飛びます。

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「いわゆる映画のヒーローのようにかっこよく生きるなんて実際にはできっこない。仕事もバリバリやって家庭でもしっかりいい父親をする、なんて、そんなの聞いていてどこか実はごまかしているんじゃないかと思ってしまう。劇中の庄平も、半ば幽霊のようだし、男はもうダメな感じで生きていくしかないんじゃないかな」
監督の男性論に、いつもよりもちょっと多めの会場の男性たちも苦笑気味です。
森下さんも、「たよりないくらいの男性のほうがリアルですよね」とのこと。
そして監督は、映画のなかで実は生きているのは千景とサキだけで、二人がこの世界でこれからも生きていけるように、天使たちの住む街で何年かぶりに再会し、つながっていく様子を描いた、と作品の核心へとつなげました。
また、森下さんからは監督の最新詩集『青い家』の中の「わたしの好きなもの」にでてくる、亡くなられた作家の永沢光雄さんについて触れられました。弱い人の哀しみとともに生きた永沢さん。作品から聞こえてくる、社会のなかではみえにくい、吐息のような小さな言葉たちは、いつも胸を打ちました。哀しみを共感できるやさしさ、弱さ、涙。監督と森下さん、二人に共通する男性観が少しずつみえてきます。

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来春3月17日よりK’シネマにて脚本した作品が上映予定の森下さん。女優に、執筆に、様々なジャンルで活躍中ですが、福間監督より文章を書くことについて問われると、書くことは難しい、けれど、簡単にできるとつまらないから、長い目でやっていきたい、とおっしゃられました。簡単にできるとつまらない……この言葉、なんだかサキっぽい!そう感じたのはわたしだけではないはず。世代の違う千景とサキ。二人の共通点は、従順に生きないこと、飼い馴らされないこと。自分を見失わないこと、迷うことを簡単にあきらめないこと。森下さんのキラキラ光る目は二人と同じ強さに裏付けられている……勝手ながら、そんな気がしてなりませんでした。福間監督も、きっとそう感じてました、よね? お二人のこれからの活躍に、ますます目が離せませんね!

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宣伝スタッフ ぶーやん
写真撮影 酒井豪&松島史秋






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2011年12月23日

渋谷上映レポート 2

トークゲスト 池田香代子さん

12月21日(水)。アップリンクでの『わたしたちの夏』再映も、すでに5日目。今回の上映でのゲストは女性ばかり。福間監督、とても楽しそうです。
今日のゲストは、いま、さまざまの問題についての発言が注目され、講演会などに引っ張りだこの池田香代子さん。あの『ソフィーの世界』の翻訳でも有名なドイツ文学者です。

さて、その池田さんと福間監督は、なんと高校・大学が同期なのです。
15歳のときからおたがいを知っていたという間柄ですが、大学卒業後、きちんと再会したのは、1995年の福間監督長篇第一作『急にたどりついてしまう』を池田さんが見に来てくれたときでした。ちょうど『ソフィーの世界』が大ベストセラーになっていたころです。

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『急にたどりついてしまう』については、自分の足のウラを見るような感じだった、と池田さん。中央線沿線に長年住んでいる自分には、昔からずっと知っている雰囲気に出会って、なにか、恥ずかしくてしかたなかったそうです。
『岡山の娘』は、カシ(河岸)を変えたので、ちょっとホッとした。
そして『わたしたちの夏』が、いちばん好き。どうしてかっていうと、これも中央線の映画ではあるけど、仲間うちのあそこではなく、普遍性へとつきぬけていると思った。
そんなふうに、池田さんは、かつての同級生の「成長」を楽しそうに語りました。

「映画の世界は、職人芸っていうところがあるでしょう」という池田さんに対して、「そうなんだよね。『急にたどりついてしまう』は、スタッフが全員プロで、自分ひとりが素人。プロとのたたかいになった」と福間監督。「それと反対に、『岡山の娘』は、アマチュアのなかに自分ひとりがプロという感じでやった。どちらも大変だったけど、『わたしたちの夏』は、カメラと編集と音という要所にプロをおくというかたちになった」と説明しました。

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池田さんは、「二人の女性がすばらしい」と語りました。そして、鈴木常吉さんと室野井洋子さんを昔から知っているという話も。
「映画って、人とのつながりでやっている。人とつきあうというのがベース。そこからさらにまた人とつながってくる。おもしろいよね」と福間監督。

話は、予定の時間をオーバーして、どんどん展開していきました。
日本人が感じている夏、生命力の一方にある濃い死の影、それをあらわす「人外境」としての森の色調の素晴らしさ……。とても書ききれません。

「中央線、高架になって、原民喜が身を横たえたころの線路の風景とはちがってしまってるよね」
「だから、線路は南武線で撮った」
「バス停の標識に cielito lindo って書いてあるよね」
「きれいな空、つまり天国に通じるバスだから。あれは、ぼくが自分で書いたんだ」
「生きている千景さんは、乗り遅れるなよって言われる」
「そう、バスで帰ってこなくちゃいけない。その帰ってこさせる力はなにかっていうこと」
「帰ってこさせる力? あ、わかった気がするわ」
と、二人の対話は、『わたしたちの夏』に核心に迫っていきました。

「福間クンの女性観が見えてくるね。とても心地いい映画だった。豊かな時間をすごせました」と池田さん。
「なにか、ものを言おうとすると、立場がどうだとか、そういうことを言っちゃいけないとかってことがあるけど、そんなことはない。感じたことを言っていいんだというふうにしたかった」と福間監督。

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「団塊の世代はつまらない」と、団塊世代の二人の意見が一致。
最後に、福間監督がこれから編集するという次の作品『あるいは佐々木ユキ』のことも語られました。
二人の話は、そこで終わりではなく、そのあと、居酒屋さんに場を移してつづきました。
この日が63歳の誕生日だったという池田さんを祝う乾杯からはじまって、なんと4時間近く、二人は、高校時代からのあれやこれや、映画のこと、社会のことを語りあいました。
「なにごともあきらめない」でやっていく二人。すごいです!

宣伝スタッフ あっぷるちゃん
写真撮影 酒井豪





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2011年12月18日

渋谷上映レポート 1

ポエトリーリーディング&舞台挨拶

冬の東京に、夏の音と記憶が戻ってきました。12月17日より渋谷アップリンクにて、『わたしたちの夏』、1週間の再上映です。初日の今日は、監督と主演の吉野晶さんによるポエトリーリーディング&舞台挨拶が行われました。福間監督、お久しぶりですね。そして、待ってました、吉野さん!

ほの暗いアップリンクの会場に、監督が登場するやいなや、すぐに朗読が始まります。「書いてしまえばいいのに待ってしまう」…監督の最新詩集『青い家』を読んだ方ならすぐ思い出せますね。タイトルにもなった「青い家」です。続いて同じく『青い家』より、「あらしの季節」が続きます。

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よくわからないし、なんだか難しいし…と、つい逃げ腰になりがちな現代詩の世界ですが、朗読された詩の言葉たちは、不思議なくらい耳にはっきり残ります。そして、そのフレーズのかけらたちが描く点を結びあわせた先に、そう、段々と『わたしたちの夏』のあのシーン、このシーンが浮かび上がってくる気さえしてきました。論理ではないものに、心と身体を委ねる。それは一見あやうく、おぼつかない、不安げなことかもしれませんが、一度身をまかせてしまえば、いままでと異なる新しい世界がみえてくる。そんな風に感じられてきました。

監督の朗読が、16年前の『急にたどりついてしまう』から「いま」、新作「きみのために詩を書くよ」と続いたところで、今度は吉野さんの朗読です。『青い家』から、「もう言いあいもできない」、そして劇中でも読まれていた「夏の言い分」。読み終えたあと吉野さんより、この「夏の言い分」という作品、撮影中はナレーションかと思っていた、という印象的なお話がでました。確かに! 福間監督の映像作品ならではのエピソードですね。

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そしてイベント最後に読まれたのは、これまた劇中でも読まれていた「きみたちは美人だ」。劇中鈴木常吉さんこと庄平が読むこの詩は、短くアレンジされたものでしたが、今回は元々の ヴァージョンでの朗読です。劇中ではカットされた部分を福間監督が、劇中で読まれた部分を吉野さんが読みます。

実は朗読の前に監督より、「この作品、僕の詩のなかでもわからない詩の代表的な存在です」との告白がありましたが……うーん、本当にわからない! なのに、なぜか言葉に耳が吸いよせられてしまいます。そういえば、劇中でもこの庄平の朗読はかなり印象的なシーンです。日常と非日常の境目に、ぽんっと放り込まれてしまったような、奇妙な時間が流れます。二人の朗読は、劇中のこの朗読のシーンを、そしてひいては『わたしたちの夏』全体に流れるそれぞれの記憶(それは千景やサキたちにとっての記憶だけではなく、この映画をすでにみている観客たちの記憶でもある)につながっていきます。

上映後の舞台挨拶では、監督より改めて「会心作です!」との言葉がでました。冬にみる、夏の画、夏の音、夏の光。過ぎ去った時間とたいせつな人たち。もしかしたら夏にみる以上に、わたしたちを夏の記憶へといざなってくれるのではないでしょうか。一度みた方もそうでない方も、ぜひ渋谷アップリンクまでお越しください! 12月23日(金)までです。

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宣伝スタッフ ぶーやん
写真撮影 松島史秋






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