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2012年07月03日

横浜上映レポート 1

横浜上映レポート 1

6月30日(土)から横浜シネマジャック&ベティでの上映が始まりました。
梅雨の最中ではありますが、夏はすぐそこまで来ています。横浜黄金町の『わたしたちの夏』はどんな顔を見せてくれているのでしょうか。
上映2日目の7月1日(日)は、映画の日で日曜日、ということで、大勢のお客様がいらしてくださいました。この日は上映後に、福間監督とサキちゃん役の小原早織さんが舞台挨拶しました。

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学生の小原さんはこの映画の初公開のころ、フランスに留学していたので、劇場で見るのは今日が二度目。壇上では、挨拶代わりに冒頭「編集、変わりましたか?」と監督に質問。
いえいえ、小原さん、変わってませんよ。
でも『わたしたちの夏』は、何度も見てくださった方から、同じようなことをよく言われるのです。物語よりも映像の断片の記憶が、その時々で異なるからでしょうか。観れば観るほどスルメのように味が出てくる作品、と自画自賛することにしましょう!

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挨拶を終えてロビーに出た福間監督と小原さんは、お客様が買ってくださったパンフレットにサインしました。それから1Fのカフェでの「交流会」へと移動。「交流会」は毎月1日映画の日に、ジャック&ベティが開催しているものです。運よく上映が映画の日を含む1週間になったことで、この恒例の催しを知ったわけですが、これは上映する側にとっても観客にとっても、とても有意義なものですね。

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この日は、ジャック&ベティ常連の方が多かったのでしょうか。若い方から年配の方まで25人ぐらいの方とともに、なごやかなで活発な会になりました。
「白い衣装の女性は、この世とあの世の境に生きている。この存在がすばらしいと思った。千景はあの世から『おいで、おいで』と呼ばれているけれども、女性は『バスで帰るのよ』と生の側に引き戻そうとしている」
「説明を極力はぶいてあって、映像から受け取るものの大きい映画だと思った。森のシーンが何回か出てくるが、とても暗示的な空間ですばらしかった」
「ラストのところ、千景が助けを求めてサキに電話し、サキがドアを開けて出ようとしたときに、祖母が呼び止める。このワンクッションが、現実的でよかった。助けに行くのか行かないのか、どうなるんだろうとハラハラする。だから最後、水がとてもさわやかだった」
「父役の常吉さんが居候しているアパートや外の印象、また彼の風貌などから、かつての70年代を常吉さんの中に感じた」
などなど、これまでに出されなかった感想も含めて、興味深い意見や質問が飛びかいました。

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交流会の最後に支配人の梶原さんから、福間監督の次作『あるいは佐々木ユキ』についての紹介を促されました。『あるいは佐々木ユキ A Fairy Tale』は、小原早織さん主演の、福間監督長篇第4作で、完成を間近にひかえています。
「はじめは、モナリザから取ってスマイル、を主題にしていたけれど、結局はそうはならなかった。どんどんホンは変わりましたね。もうひとりの佐々木ユキが登場したり、人魚ひめの物語が出てきたりします」と小原早織さん。そこに「小原さんは、サキちゃんと印象が違うけれど、それは芝居がしっかりしてるからですか」という質問。
「自分では、大げさな芝居はやっていなくて、自分に近いところが多いんですけど」と小原さん。
福間監督は「どんな映画でも、役に人をはめるというのはダメだと思う。その人を引き出しながら、結果はわからないところへ向かっていく、それがぼくのやり方です」。
それに応えるように「ゴールがあるのはおもしろくないですね」と小原さん。
さて、小原さんの「佐々木ユキ」は、どんな少女になっていくのでしょうか。

横浜ジャック&ベティでの『わたしたちの夏』は7月6日(金)まで、連日20時15分から上映がつづきます。どうぞこの機会をお見逃しなきよう、黄金町に足をお運びください。

7月4日(水) 上映後トーク TAKUMA THE GREATさん×福間監督
7月6日(金) 上映後トーク 今泉力哉監督×福間監督

宣伝スタッフ ハマノベティ
写真撮影 松島史秋 





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2012年01月30日

高崎上映レポート

高崎上映レポート

2012年1月28日(土)から、群馬県高崎市にあるシネマテークたかさきで、『わたしたちの夏』の上映が始まりました。福間監督作品としては、2010年の第24回高崎映画祭での『岡山の娘』につづいての高崎です。2月3日までの1週間、14時からと19時半からの1日2回の上映。初日と翌2日目、福間監督は3回にわたって、また2日目の29日は14時の回に主演の吉野晶さんも来館して舞台挨拶を行ないました。

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28日、11時30分に劇場入りした福間監督は、まずスクリーンチェック。その後12時10分からの『エンディングノート』(2011年、砂田麻美監督)を鑑賞。見逃していたのです。必見の傑作でした。シネマテークでのありがたいチャンスでした。
ロビーに出ると14時の回に来てくださったお客様が待っています。笑顔で上映開始を見送ってから、シネマテークの志尾睦子支配人に誘われて、同じ日に始まった高崎シティギャラリーでの「絵本原画展」へ。見たことのある絵本の原画の数々とたくさんのお客さん。高崎が文化を大事にする町という印象は、さらに強くなります。そして山村浩二さんと対面。山村さんの本『マイブリッジの糸』は、左右双方向で違う作品になる世界初の「パラパラマンガ」。これに痛く感動した福間監督はさっそく買い求め、すてきなサインをしていただきました。

さて15時半、『わたしたちの夏』の上映が終わり、シネマテークたかさきでの最初の舞台挨拶&ミニトークです。志尾さんがまず、福間健二について昨年の朔太郎受賞のことや『岡山の娘』のことを紹介してくださってから、作品についての感想と質問で進めて下さいました。
とりわけ印象深かったのは、志尾さんもまたアラフォー世代ということで共感する部分が多かったとのこと。「ひとりでも生きていけるけれど、どこかで寂しさやむなしさや疲労感を抱えているアラフォー世代。その女性が美しく描かれています。対する男性庄平は、どこかで生きていないような存在で、実際死んでいきます。それを受けとめての女性、千景とサキには、大らかさあるいはしたたかさのようなものを感じました。この女性像の、ここだけは押さえておくというものはあったのですか」と質問されました。
「千景とサキは昔うまくいかなかった。でもそのトラウマにしばられないで、千景と庄平のまわりにいる人間とのつながりのなかで、千景とサキが最後には心を通じさせるということにこの映画のポイントがあるんです」と福間監督は話しました。
前橋に住む高校時代の友人から大きな花束をいただいて、福間監督はにっこりしながら、ロビーでの歓談に向かいました。

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そして19時半からの上映が終わって21時、2回目のトークです。朔太郎賞受賞の際のテレビ番組を作ってくださった群馬テレビのNさんや、若い世代の方もたくさん来てくださっています。
詩集『青い家』を読んでくださったという志尾さん。
「高崎映画祭でお越しいただいたときにも思ったことですが、福間監督はきれいな言葉を話す方ですね。いま映画は、作家主義の作品が多いと思いますが、そのなかでも福間監督は作家の色がつよく、とても興味深い作品を撮る監督だと思います。『岡山の娘』も『わたしたちの夏』も夏ですが、そこにテーマがありますか」。
「仕事がら夏休みということがあるんですが、『岡山の娘』はある意味で夏を受け身的にとらえて撮ったけれど、今回は夏を積極的にとらえて、日本の夏を意識して撮った。日本の夏の定式、1945年の8月に対して当事者のみならず、すべての人間に共通するものとしての夏を描きたかった」と福間監督。
「『水ヲ下サイ』が押しつけがましくないですよね。なんとなく感じながら生きてることをさりげなく描いているところに、福間監督の日本映画に対する姿勢を感じます」と志尾さんは言われました。
さて、お客様からの質問です。
「この映画を撮る動機はなんだったのですか」と年配の女性です。
「アラフォー世代の女性を撮ることがまずあって、生きていることの意味がある、それをどうしたら言えるのかと考えた。死の誘惑に対して引き戻す力、これはとても詩的ですが、生きることが大事であると。帰ってくる映画にしたかったんですね」と福間監督。
「この映画は外国に出しますか」
「じつはまだ英語字幕が出来ていないんです」
「外国で評価されると思うので、ぜひ試みてください」
福間監督、これまでもそんな声が上がってますよ! ぜひ!
そしてもうひとり、やはり年配の女性からの感想があがりました。
「自分もカメラをやっているので、心情とカメラワークがとても自然だと思いました。若い人たちにこの映画を勧めたいのですけど、いまの30〜40代の人たちはものを考えたくない、そういうものは見たくないという人が多いんですよね。でも、この映画のさりげなく何かを伝えているところや感覚でわかるというところを言いたいですね」
というところで時間切れとなりましたが、ロビーでも熱心な感想を語ってくださる方がいて、シネマテークたかさきの夜は更けてゆきました。

この夜福間監督は、榛名山近く榛東村にある「現代詩資料館 榛名まほろば」で詩人の方たちの歓迎を受け、泊めていただきました。ぐんと冷え込んだ夜でしたが、朝起きてまわりの景色に感動。なんと、赤城山と榛名山に囲まれるようにして広がる前橋や高崎の街が見渡せるのです! 群馬県を一望する感じ、でしょうか。この景色とあたたかい心。福間監督は、朔太郎賞をいただいたこととシネマテークたかさきで上映かなったことの幸せをかみしめました!
で、お風呂大好き、温泉大好きの福間監督ですからね。群馬は温泉大国ですもんね。「まほろば」近くの「やすらぎの湯」でぬくぬくにあたたまってから、高崎に戻りました。

29日(日)上映2日目14時の回です。主演の吉野晶さん、高崎線が事故で予定より遅れて到着しましたが、無事上映前の舞台挨拶に間に合いました。たくさんの方が来てくださっています。とりわけ女性の方が多いようです。
志尾さんが紹介してくださったあと、まず福間監督が挨拶です。
「この映画は女性の生き方を描いていますが、『かかあ殿下とからっ風』と言われるつよくたくましい群馬の女性にどんなふうに見てもらえるか、たのしみです」と。
「わたしも群馬の女性のひとりですが……」と志尾さん。
そして吉野晶さん。
「福間監督とはもう20年のおつきあいで、98年に自分がデビューした映画のパンフレットのプロフィールに、福間監督の次回作に主演の予定と書かれてから12年以上が過ぎて実現したのが『わたしたちの夏』です。高崎はわたしの母の実家があるところ。なにか縁を感じます。寒い毎日ですが、夏の映画であたたまってください」と挨拶しました。
「ホンを読んで、千景という女性像をどのように作り上げていかれましたか」の志尾さんの質問に、吉野さんは答えます。
「自分も同じ世代ということで重なる部分もあるけれど、千景は千景、むずかしいところはありました。できるだけ千景でいようと思ったけれど、あまり考えないようにした。千景は、やりたいことがあるけれどとても悩んでいる、日々葛藤の中にいる女性、ですね」
「千景がこういう役だから、ではなく吉野晶が演じた千景をどう受けとめてくれるか、というところでしょうか」と福間監督。
最後に吉野さんが「30〜40代の女性に見てもらって、何かを感じとってもらいたい」と言って、舞台挨拶を終えました。
お客様から大きな花束をいただいた吉野さんと福間監督は、深々と頭をさげました。

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吉野さんは高崎にルーツがあったのですね! それは初耳でした。
上映後は、吉野さんのご親戚の方や、すでに二度みてくださった方(!)に囲まれて、笑顔の主演女優と監督でした。

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とりわけ寒さのきびしい今年の冬。うわさの赤城おろしに身構えて行った高崎でしたが、シネマテークたかさきには、スタッフのあたたかい心遣いと観客の熱い視線があふれていました。映画をつくること、映画をみせること、映画をみること。映画だけではなく文化や芸術にとってのこの基本が大きく崩れてきているいま、シネマテークたかさき、ひいては群馬県には、それを守り引き継いでいく歴史と土壌が、人々のなかに根強くあるのではないでしょうか。それは、1955年の映画『ここに泉あり』のモデルとなった群馬交響楽団や高崎映画祭や萩原朔太郎を生んだ土地であることも関わっていることでしょう。それを底辺で支えているのは、もしかしたら「つよい群馬の女性」なのかもしれませんね。そんなことを考えさせられた2日間の群馬体験でした。
シネマテークたかさきの志尾さん、小林さん、鈴木さんはじめスタッフの皆さん(あれ! 女性が圧倒的に多い!)、そして群馬の皆さん、ほんとうにありがとうございました。
上映は2月3日までつづきます。どうぞこの機会に『わたしたちの夏』をご覧くださいますよう、お願いいたします。

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宣伝スタッフ まほろばリリー










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2011年12月25日

渋谷上映レポート 4

トークゲスト 小原早織さん

12月23日(金・祝)。渋谷アップリンクXでの『わたしたちの夏』アンコール上映は最終日を迎えました。夕刻からの冷たい北風にもかかわらず、たくさんのお客様がいらしてくださっています。このあと東京でしばらくは上映予定がないので、わたしたちも名残惜しい気分の最後の上映です。

今日は、サキちゃんこと小原早織さんがついにゲストで登場。というのも、小原さんは、この映画の公開が決まる直前の3月からフランスに留学し、2日前の12月21日に帰国したばかりなのです。あちらでDVDではみていたものの、劇場のスクリーンで初めて出演作に向きあった小原さんとのトーク。福間監督と10か月ぶりの再会です。撮影のときよりも長い髪で現われました。

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福間監督から劇場で初めて観た感想を聞かれて「DVDでみたときも音が印象に残っていたのですが、今日もやはり音、とりわけまり子さんの歌がとてもよかったですねえ」。その反応にいささか拍子抜けした感じの福間監督は「自分はどうだったの?」とつっこみます。
「えーっ、自分ですかあ……。自分は自分ですねえ」と少し照れたような小原さん。「むずかしいこと、詩などよくわからないことがあって、友人や親たちの反応があまりよくないんですけど、それぞれの反応がすごく違うのがおもしろかった」そうです。そして、箇条書きばかりみたいな台本からこんな映画になるとは思っていなかった、出来上がったのをみて監督が言ってたのはこういうことだったのかと思った、と言います。
福間監督は、こうしたいというよりも出演者がいいものを出してくれたらそれをつなぐことを大事にしていて、クランクイン初日に撮った、原民喜の小説を小原さんが朗読するシーンの彼女の目、それを見て、これでいけると思ったと。

千石先生の授業シーンは、ドキュメンタリーなのかお芝居なのかと、これまでのトークでも質問の場面でもよく話題になりました。「あれは、授業のなかにカメラが入りこんできたというまさにリアルなもので、学生も授業のテーマにそって自分の意見を言ってる。〈犯罪は表現か〉と先生に問われて答えるわたしのセリフはアドリブです。でもこうして見ると、本当の授業のなかで、サキがあの小説を批判するようなかたちで自分を表わしている人がいたら、ちょっと不思議ですよね」と小原さん。「同じ授業シーンを3回撮ったのだけれど、言い方、三段階で変えたんです」。

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これから編集に入る福間監督の次回作『あるいは佐々木ユキ』は、小原さん主演です。小原さんがフランスに行くのでその前にということで、今年(2011年)の1月に撮影されました。初めは「スマイル」というタイトルを考えて、モナリザ→ほほえみ→明るい・軽いお話となる予定だったのが、そこからずいぶん動いていったそうです。完成は来年4月ごろかな、と監督。期待してていいんですよね?

そして話題は、小原さんがすごした10か月のフランスでの生活に移ります。語学学校に行きながら、その合間にブルガリア、トルコ、ギリシャ、イタリア、モロッコなどを旅して、一番心に残ったのは、トルコとモロッコ。「どちらも生活水準は低い国ですよね。で、大都会というか大きな街、そういうところに人々の深いつながりがある。それがすごいと思った。田舎ならわかるけど……。日本に戻ってみると、みんな下向いてて人と目を合わさないようにしていて、なんかさみしいなあと初めて思った。むこうでは知らない人でもみんな挨拶するし、目が合えばにっこり笑う。それがいいなあと思って。慣れてきてたんですね」。
小原さんは、まだ若いけれど、どこか動じないようなところがあって、堂々としている印象があるのですが、ヨーロッパでの体験がそれに深みを増した、のかもしれませんね!

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その小原さん、来年から就活するとのこと。
えーっ! もう映画には出ないんですか!? とどこかから声が聞こえてきそうですね。
「自分には創作はできないので、それをささえたり広げていくとか、そういう仕事をしたいなあと思っています」。
一方の福間監督は、『あるいは佐々木ユキ』を完成させたら、9月ごろにその次の映画を撮りたいと考えているそうです!
はい、小原さん、福間監督。みんなで応援してますよ!

宣伝スタッフ あっぷるちゃん
写真撮影 松島史秋




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