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2012年09月12日

前橋文学館上映レポート

前橋文学館上映レポート

朝晩の風が秋を感じさせるようになってきました。それでも昼間の暑さは、まだまだきびしい今年の晩夏です。みなさん、お元気でしょうか。
前橋文学館で7月14日から2か月近くにわたって開催された、萩原朔太郎賞受賞者展覧会「福間健二 青い家にたどりつくまで」が、9月9日で終了いたしました。
今年の猛暑のなか、とりわけ暑い群馬県に、はるばる足を運んでくださったたくさんの方がた、ほんとうにありがとうございました。厚くお礼申し上げます。

会期が終わりに近づいた9月2日と最終日9月9日に、展覧会関連イベントとして、『岡山の娘』と『わたしたちの夏』の上映会が行なわれました。
文学館ホールは劇場ではありませんが、新しい機材を用意してくださったので、すばらしい映写状況での上映会となりました。そしてどちらの日も、大勢の方が観にいらしてくださいました。

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『岡山の娘』(2008年)は、昨年9月ポレポレ東中野での『わたしたちの夏』公開記念のオールナイトプログラムで上映して以来でしたが、この夏は外国で上映される機会がありました。7月にニューヨークのギャラリーで、8月にスロヴェニアの詩のフェスティバルにおいてです。そして9月は前橋と、この夏ちょっと活躍しましたね。映画はこんなふうに、時間を経ても生きていくのだなあと実感しています。
福間監督は、スロヴェニアでの2回の上映とも観ているにもかかわらず、文学館での映写状況がとてもいいのにつられて、またしっかり自作を鑑賞。上映後の挨拶でも「また観ちゃいました!」の第一声に、会場からは笑いが起きました。
会場からいくつかの質問と感想をいただきましたが、女性の方からこんな質問が。
「岡山の風景が、あまり人気がないような、カラッポのような印象だったけれど、これはヒロインの心象として、監督が意識的にとらえたものですか?」
「あまり意識していなかったけど、地方都市のある部分には、朽ちたような古い建物や、昼間でも人気のないような通りがあったりしますよね。そういう意味で前橋も似たようなところがある気がしますが、岡山に5年住んだ自分が好きだった場所というのがそのままあったので、そこを撮ったということでしょうか」と答えました。

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9日の『わたしたちの夏』の上映後の挨拶で、福間監督はこれまでほとんど触れてこなかったことについて話しました。それは、動画のなかに静止画つまり写真を入れていることについてです。
「映画の主観というものがありますよね。『わたしたちの夏』で使っている写真の主観というのは、ちょっと複雑になっています。千景さんは写真を撮っている女性という設定ですが、まずトップシーンの千景さんアップの写真、これは当然彼女が撮った写真ではない。これは作者つまりぼくの主観ですよね。で、劇中の千景さんが撮った写真とされているもの、これも実際には撮影の鈴木一博さんが、つまり男性が撮ったものです。千景さんの写真がどうみても女性が撮ったものに見えないという批判もありましたが、千景さんの写真であるとともに、ぼく自身が感じる写真であることを重視しました。また、単純に今回使ったカメラ、キャノンEOSシリーズが動画も静止画も撮れる、かつ編集で動画も静止画も同じ質感でとりこめる、ということから静止画つまり写真を使わない手はないと思ったことが大きいのです。そのことから、動く写真つまり動画について確かめたかったんですね」と福間監督は言いました。
それを受けて、女性の方から感想が出ました。
「千景さんが、監督の分身であると考えると、千景さんの心象的に読まれる福間さんの詩『夏の言い分』も、写真もすっと腑に落ちるものがあります」。
また、これまでに尋ねられなかった質問として、男性の方から「サキの「直人とつきあってる意味がわからなくなった」のところ、菅直人への皮肉かと思っていたけど、2010年に撮ったとのことだから、どういうことだったのでしょうか」と。
「あそこは、そのあとの『お金がある、ないの違いだけ』のところで、『太郎も由起夫も直人も』に元々はしていたのですが、サキ役の小原さんの意見を取り入れて、直人だけを使うことになったんです」と福間監督。撮影直前に、あるいは撮影しながらホンが変わっていく、出来上がっていくというのは、スタッフやキャストの若い学生たちからの意見をどんどん取り入れていく福間監督のやり方から生まれているのですね。
ほかにも、千石先生の授業のことや「バス」の意味などについて質問をいただきました。

展覧会最終日でもある今日の上映の最後に、福間監督は来てくださったお客様と文学館のみなさんに、心からのお礼を述べてしめくくりました。
朔太郎賞受賞者展覧会にいらしてくださったすべてのみなさん、そして前橋市と前橋文学館のみなさん、ほんとうにありがとうございました。

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ところで、この展覧会のチラシとポスターや図録に掲載されている写真は、カメラマンの平山利男さんが撮ってくださったものですが、『わたしたちの夏』の撮影場所を背景にしたものがあることにお気づきだったでしょうか。庄平さんが死んでいた場所と、バス停です。動画として象徴的に表現された場所に、監督自らが立って静止画となっている。これもまた、福間監督が何かを確かめたかったことからきているのでしょうか……。

さて、福間監督の新作『あるいは佐々木ユキ A Fairy Tale』は、7月に完成し、2013年1月にポレポレ東中野での公開が決定いたしました。どうぞご期待ください!

宣伝スタッフ 広瀬川ほとり







posted by tough mama at 10:57| Comment(0) | イベントレポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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