topimage-cut.JPG

2011年09月23日

東中野上映レポート 15

トークゲスト 小池昌代さん

9月22日(木)のトークゲストには、詩人の小池昌代さんに来ていただきました。
小池さんは、最近は小説も意欲的に書かれています。詩集でも小説でも数多くの賞を受賞されていますが、福間監督が新詩集『青い家』で今年受賞した萩原朔太郎賞の昨年度の受賞作が、小池さんの『コルカタ』という詩集です。
詩と小説、詩と映画。詩をもっと開かれた場所へ持ち出そうとしている二人の詩人のトークは、どんな展開になるのでしょうか。

「今日、『わたしたちの夏』をもう一回見たんですけど、最初見て気づかなかったところがずいぶんありましたね。最後のシーンでサキが自転車で千景に近づいていくところ、ストップしてまた動いて、というところとか。映画の一瞬一瞬は、監督の意図のもとに撮るんですか」と小池さんは質問します。
「それは意識できないですよね。撮る段階、OKカットもNGカットも何度も見なおす編集の段階、そこでも見えなかったものが、つないで全体にしてみると見えてくる」と福間監督。

小池 IMG_9915.jpg

小池さんは、『岡山の娘』の父と共通する「無為の男」庄平について、「あの千景がこういう男を選ぶのがわからないなあ」と言いながら、庄平がパーティシーンで詩を読むところについて言及します。
「最初見たとき、なんでここで急に詩を読みだすの!?って思ったのね。詩が日常に入る異和というか。福間さんはあれもやりたい、これも使いたいのかって。でも2回目に見たときは、それほどでもなかったのね」
それに対して福間監督は「『岡山の娘』のときは、映画の中に詩がある、だから入れようと。今回の庄平が読むところ、『きみたちは美人だ』という詩は自分でもよくわからないんだけど(笑)、あれでいいのかと悩んだ。生きているのか死んでいるのかわからないような男がサイフの中に詩を入れている。で、演じている常吉さんは歌手だから、どこかパフォーマンスしてしまう。そこで、あとから同じ詩を千景さんが読む声を入れた。詩と映画がゲームしてる、という感じで」と。
「わたしは、自分の小説について『詩を持ち込んでいる』と言われると、すごく悔しいの。自分ではそうしてないつもりなのにね。福間さんの映画のなかで、詩が映画に負けるところを見たかったわ」と小池さん。

そこから話は、このパーティシーンで、「日本の夏を象徴する」終戦や原爆の記憶を語る〈きみたち〉へと、さらには今年の大震災の受けとめ方へとつながっていきます。
「父から戦争の記憶など何度も聞かされてきたけど、このたびの大震災をとおして、父の話が、ナマなリアルなものになってきた。原爆や戦争に対して、昔とは違う感覚になってきましたね」と小池さんは言います。
「『わたしたちの夏』は去年の夏撮影して、今年3月を経て5月ごろまで編集していた。当事者でなくても感じている不安というものが、遠い記憶だった戦争や原爆を別なかたちで近いものに引き寄せてきたとも思いますね」と福間監督。

そして小池さんは、音が印象的だったとも言います。
「わたしはガーッっていうような大きな音は苦手なんですが、たとえばバスの音のなかの千景のハミングとか、風の音とか、サキがささやくところとか、すごくよかった」。

小池 IMG_9932.jpg

ふたりの話はいつまでも続きそうですが、そろそろ時間です。
福間監督は、小池さんの最新小説『わたしたちはまだ、その場所を知らない』は、詩そのものを主人公にしたファンタジーだともいえると絶賛。詩はいろんな場所に出ていくのがいいんだ、と言って締めくくりました。
いつまでも好奇心いっぱいで、透き通った目の小池昌代さん。
どうもありがとうございました。

宣伝スタッフ クーちゃん
写真撮影 酒井豪


posted by tough mama at 13:31| Comment(0) | イベントレポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。