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2011年09月11日

東中野上映レポート 10

トークゲスト 小谷忠典監督

9月10日土曜日。東中野から見える月もだいぶ丸くなってきて、そう、もうすぐ中秋の名月です。ススキも穂を出したことでしょう。
今夜のゲストは、あの『LINE』の監督小谷忠典さんです。
小谷監督はまず「詩集割引があるというので、詩集を持ってきました。『わたしたちの夏』を初めて見たときに、思い出したのが萩原朔太郎の詩の序文でした」と話して、それを朗読されました。

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「我々の顔は、我々の皮膚は、一人一人にみんな異なつて居る。けれども、実際は一人一人にみんな同一のところをもつて居るのである。この共通を人間同志の間に発見するとき、人類間の『道徳』と『愛』とが生れるのである。この共通を人類と植物の間に発見するとき、自然間の『道徳』と『愛』とが生れるのである。そして我々はもはや永久に孤独ではない。」
これは、朔太郎の詩集『月に吠える』の序文の一部です。

これにつづけて小谷監督は、福間監督にこのたびの朔太郎賞受賞のお祝いの言葉を贈り、『わたしたちの夏』への質問を切り出しました。
「自然と人間の間のこと、緑や樹々が風にゆれているさまが、とても印象的ですが、これはどういう認識からですか」
「写真と映画はどうちがうのかということを、僕は『LINE』を見て発見したんです。『LINE』は、限りなく写真に近づきながら、なお映画である、というところがすごい」と福間監督。
「映画における写真は〈死〉を提示していて、映画は動く〈生〉だと思いますね」と小谷監督。
「動いている世界、この世界には生命が通っている」と福間監督は応じて、話は『わたしたちの夏』のなかの、一見写真かと思える植物たちの動くさまについて進んでいきます。

小谷監督は、自分が一番好きなシーンについて、とても興味深い話をされました。
「庄平が死んで、仏壇でサキが、千景が撮った庄平の遺影を見ているシーン。これは写真の父を見ているサキの視線のなかに千景の視線があるんですね。そのときのサキの目。この場面は感極まりましたね」
うーん、なるほど、と思われた方も多いのではないでしょうか。

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小谷監督のお話は展開していきます。
「9・11や広島のことが出てきて、千景はNYのグラウンド・ゼロを撮れなかったわけですけど、では千景とサキにとってのグラウンド・ゼロは何だろうと思ったんですね。それは廃屋となった、かつて三人が住んだ家だと。家族を結ぼうとして壊れたあの家。それを千景が撮ろうとしている」。
さらに小谷監督は言います。「千景が庄平の写真を撮るところ、庄平の写真が何枚も出てきて、最後にサキの子どものときのカラーの写真が出ますよね。これは庄平の奥にあるサキを千景が見ているということでしょうね」。
それに対して福間監督は、「サキ役の小原早織さんの、元気な女の子の代表みたいな小5のときの写真。これを使うことがこの映画で絶対に生きると思ったんです」。

沖縄の娼婦をとらえた映画『LINE』の撮影は、小谷監督自身によるものです。写真や画を凝視する、そこに何が見えるのか。今日のトークの焦点は、そのあたりにありそうですね。
フィクションとドキュメンタリーの要素をどう取り入れるかや、編集作業についてなど、二人の監督の話は尽きません。

小谷監督の新作は、故佐野洋子さんの『100万回生きた猫』を基にした作品で、編集もほぼ終わっているとのこと。「どういう映画になるのか、自分でもわかりません」と苦笑されましたが、とてもとても楽しみ。来年、公開の予定です。
打ち上げの席で出た、福間健二監督・小谷忠典撮影という映画の話! いつか実現することを夢みているのは、わたしだけではないでしょう。

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宣伝スタッフ クーちゃん
写真撮影 松島史秋


posted by tough mama at 13:44| Comment(0) | イベントレポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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