トークゲスト 安藤尋監督9月7日。今日のトークゲストは、映画監督の安藤尋さん。
福間監督と安藤さんは、実は会うのは3回目。でも、二人には何かと接点が多いせいか、いつも意気投合する中身の濃い出会いをしているそうです。
二人の最大の接点はなんといっても、カメラマン・鈴木一博さん(通称イッパクさん)の存在です。安藤さんは、『ピアス LOVE & HATE』、『blue』などの作品で一博さんとタッグを組んでいます。また安藤監督は『わたしたちの夏』主演の吉野晶さんとも親交があります。

そんなわけで今日のトークは、「カメラマン・鈴木一博との仕事」がテーマとなりました。
福間監督と鈴木一博さんは、個人的な交流を長く持ちながら、映画作りの仕事を一緒にするのは『わたしたちの夏』が初めてでした。それでも安藤監督は、「『わたしたちの夏』には確かに〈鈴木一博の画〉がある」と言います。「一博は物語をただ撮るのではなく、人間でも木でも物でもすべてを同じ強度で撮ろうとする」という安藤監督の所感に、福間監督は、撮影中の様子を振り返りながら、「一博はそんなに監督の言うことを聞いてくれるカメラマンじゃないんだけど、とにかく一人で被写体に集中しちゃってる、そこがすごい」と言います。安藤監督は何度も頷きながら、「個性の強い撮影だから合う合わないというのがすごく別れると思うんですけど、『わたしたちの夏』はすごく一博の撮影が合ってるんですよ」。
たしかに、撮影現場では、次から次へと撮りたい監督の横で、イッパクさんはマイペースに物撮りしたり実景を撮ったりしていたなぁ…でもそのまなざしはとっても真剣で、黙々と対象と向き合っているという感じです。しかも一博さんだけでなく、福間監督も十分個性的な製作現場で、二つの個性がうまく反応しあうということは、実は奇跡的なことです。
安藤監督が、「たぶん福間さんと一博の被写体との向き合い方が近いんだと思う」と指摘すると、福間監督は、「チャラチャラ女の子の機嫌なんかとりながら撮影した映画なんてダメなんだよ。僕も一博もそういうタイプの人間じゃなかった」と肯定。安藤監督は、「不機嫌な女の子の画が撮れてるのが本当に魅力的」、「ストーリー的に不機嫌なシチュエーションにある女の子ではなくて、実際に不機嫌になってる女の子を撮ってるところが貴重」と、『わたしたちの夏』に漂う独特のリアリティに言及していくと、福間監督は「人は不幸だからと言って悲しい顔をしてるわけじゃない。サキは普通に学校に行き、真面目に授業を受けているけど、そういうプラスの要素から、彼女が隠しながら内包している不機嫌さを引き出したかった」と応じました。
二人の監督は、「ステレオタイプな物語をどう撮るかということが映画の新しさにつながる」という点で同調すると、互いに次回作への期待を寄せ合いました。
福間監督と安藤監督には、日本映画のメイン・ストリームでこれからもっと活躍してほしいですね。

宣伝スタッフ 河野まりえ
写真撮影 酒井豪
posted by tough mama at 14:35|
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