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2011年09月20日

東中野上映レポート 14

トークゲスト 木村文洋さん

9月19日(月・祝)。また台風が近づいてきていて、夕方から雨になりました。
17日から18時50分上映開始となって続映中の『わたしたちの夏』後半戦の最初に迎えるゲストは、『へばの』の木村文洋監督です。3年前、ポレポレ東中野で『岡山の娘』と『へばの』が相次いで公開され、地方の上映時期も重なることが多く、福間監督と木村監督は松山と広島の上映の挨拶をともに行動した「同志」です。

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壇上にあがった木村監督は、開口一番「がんばりますのでよろしくお願いします!」と、少々緊張の面持ち。30歳年上の福間監督は「木村くんとこうして話すのは、松山以来なのかなあ」と、木村監督の気持ちをほぐすようにして、トークは始まりました。

「京都にいた学生の頃から『現代詩手帖』とかで、福間さんの名前と顔は知ってました。映画を通じて知り合いになるとは思ってもみなかったです。『わたしたちの夏』は6月に試写で観たんですけど、僕は3・11のあと、映画を観る精神力が失せていたんです。夏の風景は去年も今年も同じようにあるんだけど、今年の夏を見るわたしたちの目がちがう。草の緑に落ちていく千景の暗さと、妙に明るいサキのまわりの緑、というようなことを感じながら観てたような……。
ところで、福間さんはここまで4本の映画を撮っているわけですが、『岡山の娘』から3年と早い展開なのはどうしてですか」と、木村監督は福間監督に質問を向けます。
「『岡山の娘』が本当に大変だったから、全力で乗りきったあと、いくらでも撮れるぞ、撮りつづけるぞと思ったその1本目ということ」と福間監督。

それから、撮影に鈴木一博さん、役者に吉野晶さん、小原早織さん、鈴木常吉さんを起用したいきさつなどが話されていって、話題は『わたしたちの夏』が大学で撮影されたことに及んでいきます。
「僕にとっての大学というのは、かつて要塞化した時期の場所という記憶の大学なんですが、撮影された首都大学は建物も緑もとても美しくて、ぜんぜんちがうもの。京都の自分の大学は、在学中にまわりの石垣が撤去されて平坦なものになってしまった。そこで、ダンスしたり女子学生がはしゃいでいたりして、とても脆弱なものだという印象なんです。福間さんが大学を使って撮ったというのが、どうしてなんだろうと」と木村監督は言います。
福間監督は「身近にあるものは何でも使う、ということがまずある。自分は学生を10年やって大学教師を30年もやってる。若松プロに出入りしていた学生の頃、若松さん監督で僕のホンの作品で、その撮影に都立大学を使った。『大学を撮る』ことの感じを若松監督から学んだのかもしれない。授業風景は、うまく使うとそれは社会の風景でもある。大学も社会の一部だと。昔に比べると、いま大学は自由そうに見えるけど実はそうでもなくて、息苦しさはあるんだよね」。
木村監督がくださった『わたしたちの夏』へのコメントに、かつて自分のおき場のなかった「大学」について書かれていることを思い出します。

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福間監督は「木村くんは、どんな監督なの?」と質問。
「カメラの前に立ったりするんで、カメラマンに怒られます(場内笑い)。カメラと町の関係を把握したいですね」
「僕は基本的にカメラを覗かない。美意識のない(!?)若松さんや園子温から学んでいるものが大きい」と福間監督。
そして、木村監督がいま準備している次の作品についてたずねます。
「『へばの』の次の話を考えています。六ヶ所村に生きる父と娘から、そこを出ていった母と兄の話へと。どんどんホンが長くなって……。カメラマンと役者だけ連れていって撮ろうかと思うけど、またカメラの前に立つかも(笑)」。木村監督はつづけます。
「自分たちが生きていて目にする風景と、映画の風景を同じように撮りたい。開かれた空間のある映画を作っていきたいですね」
「僕もまったく同じ。木村監督の新作に期待してます」
福間監督はそう締めくくって、今夜のトークは終わりました。

さて、場所は変わって、打ち上げの某酒場での二人の会話。
「うちでは、木村君のことを、ぶんちゃんって呼ぶことにしたんだよ」と福間監督。
「福間さんの初期の詩集を持ってるけど、あれはどんなふうにして書かれたんだろうと、トークで聞くつもりだった」と木村監督。
ぶんちゃんは、やはりナイーブな文学青年ですね。

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宣伝スタッフ クーちゃん
写真撮影 松島史秋


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2011年09月18日

『岡山の娘』DVD限定発売!

『岡山の娘』DVD限定10本

『わたしたちの夏』のロングラン上映を記念して、福間健二監督の前作『岡山の娘』(2008年) のDVD(私家版)を、10本限定発売します。
続映期間中10月7日(金)まで、ポレポレ東中野受け付けカウンターにて、販売します。
予告篇や北川透さんの朗読などの特典映像付きで、価格は3990円(税込)。売り切れ必至の限定10本です。
どうぞお早めにお買い求めください!

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2011年09月17日

東中野上映レポート 13

トークゲスト 前田弘二さん
       高田亮さん


9月15日(木)のゲストには、『婚前特急』が大きな話題を呼んだ、前田弘二監督と脚本の高田亮さんがご登壇下さいました。

★前田弘二監督のツイッターより抜粋
〈『わたしたちの夏』は、やりたいこと全部を自由に詰め込んでいきながら、凄いことやっているアピールは一切見えず、むしろ当たり前のように表現している。同時に全ての映画を受け入れ認めているようにすら見える。映画の可能性に戦いながら物語をみずみずしく奏で、未知なる感動に行き着く。
自分と他人。生きてる者と死者。過去と現在。世の中。それらすべてが同居している世界。そんなに詰め込んだらチリチリになりそうなのに、全てが一つの強い塊となって観客の心を打ってくる。なんて獰猛な映画なんだろう。福間監督の欲望はほんとにおそろしい。あぁ、体感してほしい。日本にもこんなに素晴らしく過激な映画があることを。
今、映画の未知なる領域へ向かっている最先端は、ホン・サンス監督、イ・チャンドン監督、福間健二監督、この三方だと勝手に思ってます。〉

★同じく前田弘二監督のツイッターより、脚本家・高田亮さんの感想
〈『わたしたちの夏』この世とあの世の境界線があやふやになっていくような壁が取り払われていくような感動と、生きている人は生きたいから生きるのではなくて単にあの世から拒絶されているだけというような強く反発されるような断絶感があってそれが悲しいし、それが本当だと感じました。
そしてこれからを生きる若者のサキが原爆や9・11やお盆や文化や親の人生や今までのことすべてを背負わされることが重荷だし不満だと言わんばかりに画面を(世の中を)睨みつけて来る。素晴らしいですね。生きている人と死んでいる人が等価に扱われているようなこの映画の中では、この世のことなのかあの世のことなのか、それが今なのか過去なのか判断がつかなくなって来るんですが、その結末には生死や時間を超えたものがやって来たように感じました。
僕は今、最も刺激的な監督は、福間健二氏だと思います。〉

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前田監督、高田さん、共にご覧頂いた際に熱くツイッターで感想を下さり、監督、スタッフがいたく感銘をうけ、急遽ゲストをお願いしたのです。

「高田くんには、『急にたどりついてしまう』の後、なかなか企画が上手くいかない頃に2〜3本脚本に入ってもらった事があったんだよね」と福間監督。
高田さんは「確か『東京爆弾娘』ってタイトルがありました。プログラムピクチャーをやりたいんだというお話でしたね。実現はしませんでしたが。のちに撮られた『岡山の娘』は、その時の感じとは全く違った作品でしたが、スゴク面白かったです」と思い出のエピソードを披露。

そして福間監督が「前田監督の作品は、自主制作の作品をテアトル新宿の特集上映で観てスゴク良かった。詩にもインスパイアを受けました。これまでは長回しでいったところを、新作の『婚前特急』はカットを割ってテンポを出してたり、いままでの撮り方とは違う作り方に自由さを感じた。女性を描くだけじゃなくて、世界に対して異議を申し立ててるんだと分かってから一段と面白くなったんですよ」と『婚前特急』を絶賛すると、前田監督からも「大切な人を失ったことで、2人が繋がるというシンプルなお話の中にやりたいことを全部ぶつけていますよね。福間監督は、実験的なだけじゃなくて、客観的でもなくて、スクリーンの中に入って行っちゃってる。それがスゴイと思うんです」と返答。お互いの作品に共通する「挑戦的」な香りを感じているようです。

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その後も「89分の作品の中で語られている分量が本当に多い。3時間半くらいの密度があります。シナリオにはどれくらい描かれているんですか?」「全カットが押しつけがましくない。何をOKの領域としているんですか?」「良いと感じたものだけを撮って行ったら、普通は成立しない。なのに何故この映画は成立しているのか?」と前田監督、高田さんそれぞれの観点からドンドン質問があがります。

「シナリオは完成していなくてもクランクインする日は決めていた。だから、未定とか、やってみてとか、考えてもらうとか書いてました(笑)」「それぞれのベストを出してもらえたらOK。たとえシナリオとは逆の表現になっていても、顔が良いとか芝居が成立していたらOKみたいな感じだよね」「画を作るということは、ファインダーを覗くんじゃなくて、感じたことをそのまま撮れば良いんじゃないかと思い始めた。ゴダールの『アワーミュージック』を観て、普通の景色でも「しっかり」見つめることでいけるんじゃないかと。身近な風景が違う次元に繋がるんじゃないかと考えた」福間監督は本当に楽しそうに応えていました。

やがて話題はこれからの映画作りへ。
福間監督は「物語のパターンにもっと飛躍があってもいいのではないか。エンタテ−テインメントじゃないところからエンタテイメントをやると面白くなる。これがゴダールと石井輝男の間で僕が考えていることなんだ」と語りました。
高田さんは「個人を追うだけでなく、その背景にあるもの。世の中と人間を同時にやらないといけないと思っています」と語り、前田監督も「プログラムピクチャーの「いま」の見せ方をやりたいですね。自分が好きな映画に近づこうとしたり、崇めるんじゃなくて、ジャンルの枠だけを借りる。何を足すのか、はみ出していくのか。そこに闘い方があるんじゃないかと思います」と言い切りました。お二人の目は、すでに次をしっかりと見据えているようです。

福間健二、前田弘二、高田亮。この3人の「これからの映画」が楽しみでなりません。

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宣伝スタッフ 加瀬修一
写真撮影 酒井豪

posted by tough mama at 00:06| Comment(0) | イベントレポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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