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2011年08月31日

東中野上映レポート 2

トークゲスト 井坂洋子さん


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8月30日(火)、公開4日目。『わたしたちの夏』が初めて迎えるトークゲストは、詩人の井坂洋子さんです。井坂さんは『岡山の娘』に引きつづいて、パンフレットへの作品評とトークに登場していただきました。パンフレットに書いてくださった『涼しい孤独』は、読んだ人の多くが絶賛し、そこからは映画を読み解く光があふれるすばらしい文章です。同世代の表現者として、お互いに多くのものを受け取ってきたと感じている福間監督と井坂洋子さん。ふたりのトークは打ち合わせなしで本番に入りました。

「DVDでは何度も見せていただいたけれど、初めて劇場で見て、外の音が生きていることを強く感じました」と、井坂さんの感想から始まりました。そしていきなり、福間映画ではヒロインは女性ばかりだけれど、男性にはしないのかと監督に質問。井坂さんは『岡山の娘』の父親といい今回の庄平といい「ダメな男」のなかに、自分の何かをみているのでは? と言及されます。いささか困惑気味の監督は、親になることを拒否してきた自分がもし親になったら、あんな父親になるだろうと答えました。

井坂さんの質問は緩急おさえて、映画に詩に縦横します。
「人物というか顔のクローズアップが多いですよね。それもわざと長く撮っているのかと思えるほどに。天使的存在の動きや表情、庄平のボーッとしているさまなどがとても印象的で、そこからそれぞれの孤独感がたちあがっている。でもそれは、決してどろどろしてなくて、どこか涼しげでいいのです」。
福間さんの言葉へのこだわりでは「水」と「バス」がありますよね、と井坂さん。監督は「僕の住むマンションのすぐ前がバス停で、そこで待ってる人をしょっちゅう見ているんです。バスを待っている人、それは何だろうって。バスは僕たちをどこかへ連れていてくれるのではないかと」。

『わたしたちの夏』は、福間監督にとって身近な場所や好きな場所が撮影現場になっている。それは低予算映画の基本で、かつ自分はせこい人間だから身近なものはどんどん使うと監督は言います。それを受けて井坂さんは、ふっと納得されたように「この映画を見たあとで、自分の家の庭の草木が、映画のなかの緑とつながっていることを感じたんですね。そういう親密な気持ちを、この映画に持ちました」と。そして「木も花も物も、じつはその内部に孤独を持っていると思うのですけれど、この映画はそのように人間を撮っていると感じました」。

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二人の詩人のトークは、いつまでも聞いていたいほどに、言葉が画を呼びおこし、画が言葉を引き出して、聞いているわたしたちの感性までもみずみずしくしてくれました。
井坂さん、ほんとうにありがとうございました。

宣伝スタッフ クーちゃん
写真撮影 松島史秋

posted by tough mama at 13:21| Comment(0) | イベントレポート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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